If the fairies come to tea, how very jolly that would be! They’d say “Hello”. I’d say “Come in”. And then the fun would all begin...

「築地明石町」をみて、夢うつつになった日

東京国立近代美術館で開催されている「没後50年 鏑木清方展」にいってまいりました。

閉館間際の人気の少ない展示室で「築地明石町」を見つめていたら、あまりの美しさに頭がぼーっと…。

ふわふわとうわの空で歩いた帰り道には、夢のような噴水に遭遇し…。

何とか現実世界に戻ってこられたのは、奇跡だったかもしれません(^^;)。

美人画の傑作としてあまりにも名高い「築地明石町」。

数年前、長らく所在不明だった(ということはその時まで知らなかったのですが)この絵が発見され、近代美術館に収蔵された…というニュースをききました。

しばらくして一般公開があり、初めて実物を見たときの新鮮な感動は忘れられません。

想像していたよりずっと繊細で、透き通るような雰囲気。そしてディテールの細やかさと言ったら…。

鏑木清方の世界観にすっかり魅せられてしまったのでした。

それ以来の、再会です。

没後50年 鏑木清方展 公式サイト

没後50年 鏑木清方展の公式サイトです。2022年3月18日(金)~7月10日(日)まで、全国2会場巡回予定です。…

うかがったのは、千鳥ヶ淵の桜がすっかり散った頃…。

平日の午後でしたので、人出は少なめ。

日時指定予約をしていったのですが、当日券でも待たずに入れるようでした。

所蔵作品展のほうにも見たい絵があったので、清方展の前に、まずはそちらから…。

跡見玉枝「桜花図巻」です。

(撮影可でした)

全25図に、40種類を超えるさまざまな桜が描かれているそうです。

日本のボタニカルアート…。

巻物に仕立てられているところがまた素敵です。

特徴をとらえた、細やかな美しさ。

1枚1枚見入っていたら、あっという間に時間がたってしまい、あわてて清方展へ(^^;)。

没後50年の回顧展ということで、清方の画家としての思いを紐解くような、見ごたえのある展示でした。

ディテールが楽しい「明治風俗十二ヶ月」や、初公開という「雪粉々」など、素晴らしかったです…。

「ためさるゝ日」という双幅の絵を楽しみにしていたのですが、見つからない…と思ったら、展示替えとのこと。

もっと早く来ればよかった…。いつもながら詰めのあまい私です(^^;)。

その代わり…。夕方、人のまばらになった展示室で、「築地明石町」をゆっくり堪能することができました。

「新富町」「浜町河岸」との3部作ではありますが、やはり何といっても…。

見れば見るほど、引き込まれるような美しさです。

今回のリーフレットの一部分▼

描かれているのは、清方の記憶のなかで理想化された「明治期の明石町」なのだとか…。

白く霞んだ遠くの帆船や、薄い水色の洋風の柵にからまる、萎れはじめた朝顔。

佇むのは、すっきりした小紋に黒い羽織をかさねた、しなやかな立ち姿の女性。

ほそいほそい後れ毛が風になびき、ひんやりした空気が伝わってくるようです。

伏し目がちの涼やかな瞳は、いったい何を見ているのか…。

感動のため息を何度ついたことでしょう。

閉館時間になり、美術館の外に出ても、まだ夢心地で現実世界になじめず(^^;)。

すぐに地下鉄には乗りたくなくて…。

東御苑はもう閉門していたので、お堀端をまわって東京駅に向かうことにしました。

そういえば「時計回り」でしたが、歩くぶんには良いのですよね?

柳の若葉がきれいでした。

途中で振り返ると、八重桜の向こうに、先程までいた近代美術館が見えました。

和田倉門に着く頃には、だんだん日が暮れて…。

ちょうど噴水が上がる時間に行き当たりました。

ほの暗い夕暮れ時の噴水、夢のようにきれいでした。

水音をきいているうちに少しずつ正気をとり戻し…。

お仕事帰りの方々に混ざって東京駅に向かい、いつもの京葉線で無事に帰宅しました(^^;)。

ふだんから地に足がついているとは言えず、何かというと、うっとりぼんやりしている私ではありますが…。

今回は自分でもおどろくほど「遠くに行って」しまいました。

初めてみたときはこれほどではなかったので、何か波長が合ってしまったのでしょうか?

あの眼差しが、心のどこか深くに響いてきて…。

築地明石町、ただものではありません。

これから行かれる方は、くれぐれもお気をつけくださいね(^^;)。

 

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